秘密の遊び場

  • 2021年05月18日

    1. こんにちわ、旭川で創業64年目の刃物専門店。中野特殊刃物工業の二代目で研師の中野由唱(よしあき)です。

 

昭和32年、私が2歳の時 父は刃物店を創業させた。

旭川は家具の産地。

最初は家具工場の「丸のこ」や「帯のこ」を研ぐことから始めて、次第に木工加工機の刃物も研磨するようになった。

当時、自宅は台所と6畳間二つでそのひと間も目立場(めたてば)=工場として使っていた。

だから

6畳の部屋に家族5人で暮らしてました。

実は

その目立場、小学校に入るまでは私の秘密の遊び場でした。父からは『絶対に工場(目立場)に入るんじゃない』とキツく言われてました。

 

その頃父は

毎朝6時前に家を出て、自転車で家具工場に配達。

午前中に代わりの刃物を持ち帰り目立場で研ぐ。

昼食。

昼寝。

再び配達へ。

目立場での仕事の合間に夕食を摂る。

その後、深夜まで目立場で刃物を研ぐ。

という生活で

父の顔を見ることは殆ど無かったんです。

絶対に入るんじゃない、と言われると入りたくなるのが人情!

父が配達に出かけている時間は私の天下でした。

こっそり入る目立場にはキラッと光るお宝がたくさん。

丸のこ、帯のこ、ルーター、カンナ、カッター、他に機械やヤスリや工具も。。

手にとって光に当てたり、

見てるだけでワクワクしてました。

でも

置いてあった場所に元通りにしておく必要があります。

刃物を見て、

研いだ刃か研ぐ前か、表か裏か。

一瞬に判断して、同じ場所に同じ向きで同じ位置に元通りにしておきました。

一度だけカンナ刃で指を少し切ったことがありますが、何故入るな と言われたかその時分かりました。

幸いにも私は学校を出てから刃物の世界しか知りません。

他の世界を全く知らないのです。

だから刃物に集中出来るのかも知れません。

もしかしたら

刃物を元の形に復元したり、元の角度に戻したり、あの時の秘密の遊び場が今の私を育ててくれたのか。。

父から教えられたことは一つだけ。

仕事は盗め、人の仕事を見て覚えろ。あとは自分で

やってみろ。

 

教訓

仕事は人から教えられたことは覚えないが、面白くてワクワクドキドキしたことは忘れない。

 

by 中野由唱 よしどん

 

 

 

 

 

 

 

 

刃物が持っている能力を引き出そう

  • 2021年03月21日

こんにちわ

中野特殊刃物工業株式会社

代表で研師の中野由唱(よしあき)です。

切れないままの刃物は刃物ではありません。

刃物は使えば磨耗して切れなくなります。

研ぎながら使うのが、刃物を上手に使うコツ。

 

  私が父親の創業した会社に入社してから43年になります。

最初の3年は研磨工として工場にこもって機械刃物と包丁を研いでました。

「仕事は見て覚えろ」

「人の仕事を盗め」

と、父親に言われて覚える、というよりも身体に叩き込むという状態で必死でした。

結果 入社3日目には、実際に機械をひとりで操作して刃物を研いでいました。

そして

4年目には営業で180軒の得意先を担当。

営業と言っても、得意先を定期的に訪問して研磨する刃物を預り持ち帰ること、が主な仕事でした。

昭和53年当時の旭川は家具メーカーが200社以上もあって、家具工場にはよく行きました。

そこで決まって耳にしたのは

「そこの機械に付いている刃、切れるかどうか見てってくれ」という家具職人さんの言葉。

機械刃物は安全カバーがあったり、機械の内側に取り付けてあったり、刃先を目視できない事がほとんど。

なので、素手で刃先の感触を確認して判断してました。

(指先の感触は、これで鍛えられたようだ)

切れるかどうかは使う人が一番よく分かるのにー と反発しながら。。

切れる刃物を常に使っていると

  • 製品の品質が向上
  • 原材料の節約
  • 作業の省力化
  • 作業者の負担軽減

その他、機械の消耗抑制効果あり。

 

刃物の見直しで、年間900万円の原料節約につながったケースもあります。

単独では何もできない刃物ですが、機械との相性・材料との相性を考慮することで

現状の生産性は見違えるほど向上するものです。

家庭の包丁もまた同じで

ほとんどの人が切れない包丁を我慢して使っているのが現状です。

切れる包丁を使うと

見た目も味も良くなり、食材の持つ栄養価を損なわずに調理時間も短くなる。

ニンジンを切っても、まな板は赤くなりません。

赤くなるのは切れない証拠。

長ネギを刻んでつながるのも切れない証拠。

研ぎながら使う刃物文化は、仕事や生活を今よりもっと豊かにしてくれます。

 

教 訓 

世界が認めている日本だけにある刃物の文化を日本人は何も知らない。

1500年続く刃物の文化を日本人の手で繋げて刃物の能力を引き出そう。

    by中野 由唱 よしどん
 

新型コロナで来客減 その時気付いたこと

  • 2020年04月12日

こんにちわ

中野特殊刃物工業 代表で 研師 の 中野由唱 です。

私が家業を継ぎ、刃物の世界に飛び込んでから42年になります。

 

社会人1年生から刃物を勉強出来たことは、

私にとって何よりの財産です。

それは生産現場のお客さんから相談を受けた際、視点が人間より刃物に徹することが出来るから。

つまり「刃物を使う人はどうなのか」を「刃物的にどうなのかなぁ」と置き換えられる、ということ。

そしてそこが強みになる。

 

家具メーカーや住宅メーカー、製材工場や製紙工場などに機械刃物を提供しメンテナンス(刃物の修理、研ぎ直し)をするのが主な仕事。

さらに

  • 農業収穫
  • 水産加工
  • 食品加工

刃物の仕事は需要範囲が広いのです。

そして最近ではこんな仕事も加わりました。

  • カバン製造
  • ゴルフクラブ製造
  • 生薬製造

 

 

これらの仕事に刃物が活かされているのです。

 

私は時々この生産現場に提案して、刃物仕様の変更をお願いすることがあります。

 

材料のひき肌がきれいになり、歩留りが向上し生産工程を短縮することで働く人の向上心をアシストすることにもなります。

 

仕事が楽しくなると、仕事への意識が劇的に変化する。

目には見えないことですが、楽しくなる仕事をしてもらう。

これは大切なことです。

 

新型コロナウイルスの出現で来店客が激減して、振り返る時間が出来た私です。

 

今、何が大切かをしっかり見極めようと思います。

 

by 中野由唱 よしどん

 

右利き、左利き、あなたはどっち

  • 2020年01月18日

こんにちわ、中野特殊刃物工業(株)代表取締役の中野由唱です。

1955年生まれの私は、子どもの頃は左利きだった。小学校入学を前に大正生まれの両親から、『箸と鉛筆は右手で使いなさい』と言われて、、、右手使いを特訓した。

 

自分の名前をチラシの裏に書いて、書いて、書いて。

左手を身体に縛り付けて、右手だけでの食事。

まるでテレビアニメ「巨人の星」で飛雄馬が父一徹に左投げの猛特訓を受けるシーンみたいだった。(もっとも私の方がアニメより先ですけどー)

 

10日ほどで箸と鉛筆は右手でも使えるようになった。

私と年子の姉も左利きで同じ経験をしている。

私と同じか上の世代の人には珍しくない話なのでしょうが。

 

なぜ無理矢理 左から右にする必要があるのか、正直言って親には反発していた。

そして、ここから性格が湾曲してしまった、と自己診断しています、、、笑

 

でも、これがきっかけで「訓練で利き手は変えられるもの」とインプットされた私はその後、次第に人間に利き手があること自体疑問に思うようになっていったのです。

 

私が小学生の頃、スポーツと言えば

◾️野球

◾️ドッヂボール

◾️冬のスキー

ぐらいでした。

でも、中学校に入ると色んなスポーツに触れる機会が出来ます。

⚫︎卓球

⚫︎バトミントン

⚫︎バレーボール

⚫︎バスケットボール

⚫︎サッカー

と全て、両手両足でプレーしました。

当時(昭和42年)大流行だったボーリングも教えてくれた義兄が右利きだった、と言うだけで右で覚えて、、、でもいつしか左になっていたんですけどね!

 

こんなエピソードがあります。

中学の3年間私は野球部でした。

野球の場合、左利きだと守備のポジションが限定されます。

投手か

一塁手か

外野手かって

自分の可能性が摘み取られるようでいやだった。

それで野球だけは右でプレーしてました。

(結局3年間外野手でしたけど、、)

 

それが中2の夏休み前、部活終了後の雑談でコーチの先生が「うちのチームには左が居ないなぁ」と。

そこで私をよく知るチームメイトの沢谷君がひと言、「先生、中野は本当は左なんです」と。。

先生の目が一瞬光ったように見えました⁉︎

結局、それまで補欠だった私は『左と言うだけでライトのレギュラーをゲットしたのです。

 

翌日から右投げ右打ち→左投げ左打ちに転向。

中2の夏休みは

右手にはめるクラブの感触とボールのキャッチング

左打席でのクリップとスイング

と、この2つをテーマに猛特訓に明け暮れたことは言うまでもありません。

 

『人間は手も足も左右同じものを持っているのだから、左右同じように使えて当たり前』

今も私はそう思っています。

 

私の仕事は、機械の仕様や用途に合わせた刃物の設計・メンテナンス。

つまり、刃物を研ぐと言うこと。

 

機械刃物の種類は20ほど、材質ちがいやサイズちがいを加えると100種類。

再研磨や成型加工は刃物の種類に応じて専用研磨機を使うのですが、刃物には右回転と左回転のもの。右向きと左向きのものがあります。

機械によって左右対照の操作を必要とするものもあり、私には好都合!

 

でももし左右どちらかしか使えないとしたら、作業に合わせた治具をたくさん用意しなければなりません。

その時間と費用は大きい負担になります。

 

日本刀や包丁を研ぐ時も左右両手を使えることは、刃渡りの長い太刀や形の特殊なそば包丁・中華包丁を研ぐ場合かなり有利になります。

 

60歳を過ぎた今「私は選ばれた人間なんだ」と強く感じるのです。

私にしか出来ない仕事で、周りの人たちをしあわせにしよう!

 

研ぎの修業の終わりが見えて来ないのも、私の刃物人生がまだまだ続くと言うことなのでしょうね。

 

by 中野由唱 よしどん

 

 

 

 

機械研ぎと手研ぎの融合結果はツルツル美肌

  • 2019年05月04日

こんにちは、

中野特殊刃物工業 代表で研師の中野由唱です。

今日は「仕上げ刃物」について、あまり知られていないことをお話しします。これは木工機械の「仕上げ鉋刃」です。昔から大工さんが使っている手鉋(てがんな)を思い出してみて下さい。

長い角材の上を、滑らすように両手で引っ張って使っていたあれです。機械刃物で言えば、これがあれです。

滑らすように というところがポイント。

現在使われている機械刃物は、その殆どが刃物自身が回転して材料を切ったり 掘ったり 削ったり して使います。

しかし

仕上げ鉋刃だけは刃物を動かさずに固定し、材料を滑るように動かして表面を削って仕上げて行きます。

仕上がった材料の表面はツルッツル

そして、このツルツル感は回転刃物では出せないものなのです。

技術が進み刃物の素材もより硬いものが求められ、超硬や超合金などが主流になる時代。

超硬や超合金の刃物では、刃物を動かさずに材料を滑らせて削ることは出来ません。より硬くした為に、素材にいわゆる粘り柔軟性が無くなったことが原因です。

金属を硬くしていくと、対摩耗には強くなります。しかしその反面 衝撃に弱く、欠けやすく熱にももろくなってしまうのです。

文明は必ずしも進化している訳ではない

大工さんが使っていた、あの手鉋ほど表面をツルッツルに仕上げられる刃物は今の時代でも他にないのです。

そして、その手仕事の仕上がりの美しさは刃研ぎにも通じています。

機械で研いだ鋼(ハガネ)刃物を更に手研ぎで仕上げる。

ると、、、

切れ味が滑らかで材料がツルツルに欠けにくくなる。

切れ持ちが長くなり刃物の寿命が延びる。

機械研ぎと手研ぎの融合は、40年で辿り着いた「中野特殊刃物工業のオリジナル」なのです。

by 中野 由唱 よしどん

日本では珍しい刃物専門家

  • 2019年02月23日

よしどん節へようこそ

中野特殊刃物工業 代表の中野由唱です。

何度も書いていますが、2017年7月9日ミラサポに刃物の専門家として講師登録してから少しづつ機械刃物の相談や診断依頼が増えて来ました。相談の内容は様々です。

金物店でチップソー(丸のこ刃)の品揃えについて

木工クラフト工場で機械刃物の使い方と選び方について

農業機械の販売修理業で収穫機の専用刃物について

建築資材販売店でチップソーの在庫管理について

飲食店で包丁の切れ味が料理の味と仕事のレベルを左右する。

刃物は日常のあらゆる場面で活躍しているはず!

しかし、殆どの作業現場で活かされていないのが現実。

切れる刃物を使うだけで、現状を100%変えることができるのです。

ミラサポの専門家講師は何らかの資格を持った方が多いのですが、私は何もありません。だから、私からアドバイスできることは40年で得た生産現場の経験からだけ。

そのせいなのか、依頼主の方々はみなさん私の話を大きくうなずきながらよく聴いてくれます。

最初はそれでいい、と思ってました。でもその後 訪問したり電話で話したりしてみるとミラサポの成果が上がっていないことに気づくのです。

結局、診断やアドバイスを受けても依頼主自身が「変わろうとする心」で行動しなければ−何も変わらない–と言うこと

これからはミラサポの刃物専門家として、先ず変わろうとする心を持って貰えるよう意識して行こう。うん、そうしよう!

by 中野 由唱 よしどん

【北海道胆振東部地震 の 翌日】

  • 2018年10月07日

ひと月ぶりのブログです。読んでくれてありがとうございます。

 

9月6日はミラサポ講師として、派遣先を訪問することになっていました。

その日は何故か、午前3時に目が覚めていました。そして3時8分、北海道で震度7の地震が。それから20分後、今度は大停電が北海道全域を襲いました。

道路の信号機もすべて消え、いつ復旧するのか分からない不安だけが残りました。

止むを得ず、6日の訪問は延期することにしたのですが先方と電話もメールも使えず 連絡がつきません。ダメもとで延期する旨のメールを送信しました。

午後になって、私の携帯に先方からの電話が入り ようやく連絡が取れました。

協議の結果、翌日の訪問となりました。

 

今回の派遣先はオリンピックで有名になった冬のスポーツ カーリングの街 北海道北見市です。

北見市と言えば、北海道の市町村の中で一番広い面積で玉ねぎの生産量は日本一なんです。

その北見市で農業収穫機を独自に製作し、利用者から直接感想を聞きとりながら改良を加えている、そんな探求心旺盛な企業です。既に発売した機械で「もっと長持ちする刃にしてほしい」と声が上がり自社で考案中の刃物の形状について 刃物専門家 のアドバイスが欲しい、またオリジナル刃物の開発・導入についての支援も受けたい、という相談内容でした。

 

機械製作の現場で付属の刃物について、独自に開発を進めることはあまりないことです。

 

具体的に言うと

  • 機械のもつ能力(機械性能)
  • 使用目的(個人差があります)
  • 使用条件(最良から最悪まで)
  • 試行したデータ(要詳細)
  • 現状結果
  • どうしたいか(改善要件)

 

以上のことを一元化して改善することは容易ではありません。

もし刃物メーカーがこの開発に着手すれば、一年がかりで1000万円の仕事になります。

データを収集しながら2、3パターンの刃物を4、5回は造り直すことになるでしょう。

しかも全て単品製作です。

 

私の場合「そのお客様に一番合った機械刃物は何か」を考え続けた40年の経験を重ね合わせて、開発に係る時間と費用を最大限に抑えて、最初の試作で90%の完成度と90%の費用削減を目指します。

 

F1レースでタイヤ交換のタイミングと選別を誤ると、たとえ世界一速いエンジンを搭載していてもチェッカーフラッグは受けられません。

 

前にも述べたように、

機械性能、使用の目的と条件、現状の把握と変動する環境、を全て加味して設計します。

この作業は難しいというより、手間が掛かるのでやりたい人はいないと思います。

しかし、この手間が完成度を時には100%にもてくれるんです。

 

手間ひまを掛けることが敬遠される時代ですが、この手間を惜しまずにこれからも仕事を楽しんで行きたいと思うのです。

 

専用刃物は現在設計途中です。

最後まで読んでくれてありがとう。

 

 

by中野由唱 よしどん

常識とは誰が創ったものなんだろう

  • 2018年08月31日

私は小学生の頃から学校を休んだ記憶が無い!

勉強は退屈だったが、友達と遊ぶのが好きだった。

丈夫に産み、育ててくれた親に感謝だな。

 

22才で家業を継いだその年に、風邪で熱を出して寝こんだことがある。父親に「這ってでも仕事しろっ」と言われた。それ以来 風邪で寝こむのは正月休みと決めている(笑)

60才も過ぎると「休息も道草も生きるためには必要なことだ」と強く思う。

心にゆとりを持つことで人は豊かに生きられる、そう実感する。

仕事においても ひと息入れたり、立ち止まったり、時にはその場から離れてみることも大切だ。

 

私は仕事柄、いろいろな角度から物事を見るようにしている。しかし、それも常識や固定概念で捉えてると、成果は出せない。

 

以前こんなことがあった。

原木(丸太)を板状に薄く挽き割って製材にする木工場のお客様から、

「作業のスピードをもっと早くしたい、後工程の仕上げがたいへんだから、現在の丸のこ刃(弊社オリジナル タイガーチップソー)の大きさを今より大きくして、刃数も増やして欲しい」そんな要望だった。

確かにチップソーの径を大きくすれば、駆動モーターの回転数を変えずに周速が速くなり切断速度は上がる。そして、 刃数を増やして目を細かくすれば、挽き割った木肌はきれいになる。

今でも そのまま お客様の要望を聞いて、大きく目の細かいチップソーを納める業者がほとんどだ。

言われたことに逆らって 別の丸のこ刃を納めて、それで上手く行かなかったらクレームになると思い込んでしまい、そんな危ない橋は渡りたくないと考える。

多分そんなことだと思う。

しかし、私が納めたタイガーチップソーは全く真逆のものだった。

 

従来のものより径は小さく、刃数も減らして荒くした。

それは、チップソーの刃厚を薄くしたことで全ての問題が解消された。

①切込む時の刃の摩擦抵抗が小さくなる

②小さい分、ノコ振れが無くなる

③振れないから挽き肌がきれいになる

④刃数が少く荒い分切込み能力が増す

⑤送材速度を上げることができる

⑥薄くなった分、歩留まりが良くなる

以上の結果、歩留まりの違いで年間の原料費が200万円の節約になった。

目先のことではなく、チップソーの特徴と機械の能力、使用する木材の性質と 総合的に捉えてそれまでの常識では考えられない刃厚のチップソーを設計した。なぜなら私は その薄いチップソーがダメだという事実を目の当たりにしたことがなかったからだ。

 

机上の理論だけで判断したくはなかったのだ。

 

この木工場はその後 作業がスピードアップして品質も向上し、最終的に年間700万円の増収につながったそうだ。

もちろん、「常識外れ」の設計にひるむことなく応えてくれたチップソーメーカーの技術と「心粋」には頭が下がる思いである、感謝。

 

毎日繰り返しの仕事をしていると、なかなか気づかないもの。でも様々な角度から、あるいは全く違う次元から一歩下がって見てみると、不可能なことがいつか可能になることもある。

そう思えた瞬間だった。

でも実際には、試運転が終わるまでドキドキだったなぁ。

 

常識と基本は必ずしも同じものではない。

そもそも常識とは誰が創ったものなのか、常識的に、ではなく基本に立ち返りたいものだ。

 

by中野由唱 よしどん

ルーターマシンは木工製作を無限大にする

  • 2018年07月29日

こんにちわ、中野由唱です。

いきなりルーターマシンという木工製作に関わる方にしか分からない機械の名前からの書き出しを許して下さい。ルーターマシンとは切削用機械の名前です。切削性能が高く、汎用性も高い。使用者の捉え方で加工の可能性が拡がる機械です。

木材を加工する時にどの機械にどんな加工をして貰おうかな?

昇降盤でY加工をして次にルーターマシンでF加工をする。

そうすると木肌がツルンと綺麗になるだろうか? どうかな?

実は、木材の加工にたった一つの正解というのはないんですね。あえて言うならば、正解は何通りもあるんです。製作者の発想やアイディア次第で同じ機械でも使い方が幾通りもあるんです。当然、それにまつわる先端工具(刃物)も同様なんです。

私はこんな画一的でない仕事が好きで、ミラサポ専門家派遣の仕事もしています。

さて、そのミラサポで先日 北海道の山あいの小さな町を訪ねました。

以前一度だけ車で通ったことがありますが、夜だったので町の様子は分かりませんでした。

今回は午前11時から午後4時までがコンサルティングの時間です。昼間の町はのんびりとしていて時間がゆっくりと流れているようでした。

相談内容は、木工クラフトの製造過程で使用している機械刃物についてです。

「現在機械メーカーの純正品で作業をしているが思うように加工出来ない。今よりもっといい刃物はないか」という内容でした。

更にその作業の迅速かつ安全性を求める、難易度の高い相談です。

最初に使用する材料の種類とその特徴について尋ねます。

 

  • 木のどの部位を使うか
  • 加工の方向がタテかヨコか
  • 硬いか柔らかいか
  • 乾燥の度合い
  • 加工の条件

以上の具体的な状況から私は答えを出します。

☆作業の速さを求めるならA

☆作業の安全性を求めるならB

では,AとBのどちらを優先させるのか?

それを相談者に選んで貰う。

それだけならば、2時間で終わる内容です。

 

私は次に相談者へこんな質問を投げかけました。

  • 売れるものを作りたいのか
  • 自分の好きなものを作りたいのか
  • クラフトのもの作りが好きなのか
  • 売れることに喜びを感じるのか
  • 利益を追求したいのか

相談者の知りたいことに応えるだけがコンサルティングじゃない。

その人の夢や希望、日々感じていることを出来るだけ具体的に捉えて 選択肢の幅を広げることが重要だと思うのです。

のんびりと昼休みを過ごしていると、午前中に見せて貰った工場の機械設備とそこで作られた商品が次々に浮かんで来ます。

【現状の機械設備×現状の刃物+使える刃物】

この「使える刃物」を私が追加して掛け合わせることで仕事の質を上げ、その可能性を引き出す。

私はそんなコンサルティングを心掛けています。

今回の相談者は家具づくりにも携わった経験のある方だったので、それぞれの機械の能力と使用可能な刃物の有無についも話が出来たことは有意義でした。

木のぬくもりを感じて貰える商品を作りたい

自分の作った商品を手に取り、気に入って使って貰えるのが嬉しい

こんな風に答えてくれた相談者の笑顔が印象的でした。

 

やる気に満ちた表情の私 (^^)v

by中野由唱 よしどん

 

刃物も適材適所

  • 2018年06月23日

2018年6月23日 土曜日

エゾ梅雨っぽい天気が続いている旭川です。

あなたはいかがお過ごしですか?

 

刃物は「ものづくり」の裏方です。

単独では何もできません。

けれど、様々な製品を生み出していく力を持っています。

私はそんな刃物を支えるプロデューサーです。

つまり、裏方の裏方なのです。

機械刃物部 メイン商品【タイガーチップソー】

雪が解けて春になると、みなさんは車のタイヤを夏用に履きかえるでしょう。

中には「スタッドレスタイヤだから」と言って冬タイヤをそのままで履き替えずに走っている人もいます。

それでも、次の冬が来て雪が降り出す頃には全ての人が、夏用から冬用にタイヤを交換するのは必然です。それは、夏タイヤで雪道を走ることがキケンだとみんな知っているから 。

実は機械刃物も同じなんです。

使う材料が変わっても、切削条件が変わっても、刃物は同じものを使い続ける。

そんなことが結構多いものです。

 

刃物は

機械の回転速度

機械の送材速度

材料の性質と硬度

仕上り精度

加工条件

などの事柄を考慮して、私は設計・製作しています。

 

刃物に「何でも切れる万能タイプ」は無いのか、とよく聞かれます。でもそれは「何でも切れる」ということは「何でも切れない」ということ。

つまり【50%の切れ 】ということになるんです。

  • 材料の歩留り向上
  • 工程の省力化
  • 機械消耗部への負担軽減
  • 機械寿命の延長
  • 作業者の疲労軽減
  • 製品の品質向上

無理なく、無駄なく作業が出来ると 作業そのものが楽しくなるもの。

目には見えないことですが、

「楽しく作業ができる」ということは

仕事の質の底上げになり、作業者の意識の向上にも繋がるんです。

 

私は、あなたやあなたの周りの人たちにもっと楽しく仕事をして欲しい。

人生の大半の時間を費やす仕事が、【人からさせられるもの】では勿体ない。

遊びも仕事も楽しくできれば 毎日が明るく元気に、そしてもっと積極的に行動できる。

一度しかない人生、明るい方がいいよね。

そんなことを考えながら【裏方の裏方】に専念したい、そう思うんです。

by中野 由唱 よしどん