機械研ぎと手研ぎの融合結果はツルツル美肌

  • 2019年05月04日

こんにちは、

中野特殊刃物工業 代表で研師の中野由唱です。

今日は「仕上げ刃物」について、あまり知られていないことをお話しします。これは木工機械の「仕上げ鉋刃」です。昔から大工さんが使っている手鉋(てがんな)を思い出してみて下さい。

長い角材の上を、滑らすように両手で引っ張って使っていたあれです。機械刃物で言えば、これがあれです。

滑らすように というところがポイント。

現在使われている機械刃物は、その殆どが刃物自身が回転して材料を切ったり 掘ったり 削ったり して使います。

しかし

仕上げ鉋刃だけは刃物を動かさずに固定し、材料を滑るように動かして表面を削って仕上げて行きます。

仕上がった材料の表面はツルッツル

そして、このツルツル感は回転刃物では出せないものなのです。

技術が進み刃物の素材もより硬いものが求められ、超硬や超合金などが主流になる時代。

超硬や超合金の刃物では、刃物を動かさずに材料を滑らせて削ることは出来ません。より硬くした為に、素材にいわゆる粘り柔軟性が無くなったことが原因です。

金属を硬くしていくと、対摩耗には強くなります。しかしその反面 衝撃に弱く、欠けやすく熱にももろくなってしまうのです。

文明は必ずしも進化している訳ではない

大工さんが使っていた、あの手鉋ほど表面をツルッツルに仕上げられる刃物は今の時代でも他にないのです。

そして、その手仕事の仕上がりの美しさは刃研ぎにも通じています。

機械で研いだ鋼(ハガネ)刃物を更に手研ぎで仕上げる。

ると、、、

切れ味が滑らかで材料がツルツルに欠けにくくなる。

切れ持ちが長くなり刃物の寿命が延びる。

機械研ぎと手研ぎの融合は、40年で辿り着いた「中野特殊刃物工業のオリジナル」なのです。

by 中野 由唱 よしどん