常識を進化させるために
こんにちわ
北海道旭川市で昭和32年(1957)創業の刃物専門 中野特殊刃物工業(株) の 中野由唱です。
刃物を研ぎ続けて44年、今は料理包丁の販売と研ぎ直しにも力を入れています。
年間1,300本程の包丁を研いでいますが、その中で変形が酷く修復不能な包丁も多々出会います。
それは「見よう見まね」という自分の研ぎ易い我流で刃物を研いだ結果です。
「自分で研いで、研ぐ前より切れなくなっちゃったー」とか
「人に頼んで研いで貰ったら、機械を使って研がれてしまったー」とか
「包丁ってー誰が研いでも一緒でしょ」とか。。。
まぁ、よく聞く話です。
でも
研ぐ人と研ぐ方法で包丁は全く違うものに生まれ変わります。
包丁は日本刀とは違います。
出っぱった所は削れますが 凹んだ所を盛ることは出来ません。
修復するにも元の形がなくなってしまっては手の打ちようもありません。
そうなる前に相談して欲しいところです。
例えば、
あなたは床屋 や美容室を選ぶ時、腕が確か否かなど自分好みの技能者を選ぶでしょう。
理容師や美容師は個人技能ですからね。
まぁ、当然です。
包丁研ぎも じつは 個人技能なんです。
上手い下手 安心できるかできないか という選択基準があっても良いはず。
私は日本料理の基本は切れ味の良い包丁だと考えています。
和食の料理人の料理は
新鮮食材と調理の腕前と切れる包丁の三位一体だと信じています。
そのどれ一つ欠けても「四季と風土」「旬と彩り」を鮮やかに表現する あの美しい日本料理は生まれません。
日本刀から繋がる 研ぎながら使う包丁の日本文化を残したい。
料理をする全ての人に包丁本来の切れ味を知って貰い、料理をもっと楽しんでほしいんです。
玉ねぎで涙が出るのは切れない包丁のせい。
にんじんの千切りででまな板が真っ赤になるのは切れない包丁のせい。
皮を剥いたリンゴは塩水に漬けないで、そのまま美味しく頂きましょう。
何故ならば、切れるペティナイフなら皮剥きしたリンゴだって1時間は赤くなりません。
切れない包丁が当たり前になって、いつの間にか長い時間がたってしまいました。
長い時間が常識さえも変えていたのです。
みなさん、包丁の切れ味を私と一緒に もっともっと追求していきましょう。
by 中野由唱 よしどん
最近、研ぎ直しに預かる包丁のなかに刃先の傷んでるものが増えています。
こんにちわ
中野特殊刃物工業(株)代表で 研師 の 中野由唱です。
ホームセンターなどの包丁コーナーには包丁と一緒に簡易研ぎ器が並んでいるのを見かけます。
カラフルで形も可愛い商品が多く、特にコンパクトで初めてでも簡単に使えそうなものが人気のようです。
せっかく作った料理も包丁が切れないと、食材がつぶれてしまい、食材の持つ旨味成分も口に入る前に まな板に吸われてしまいます。
毎日使う包丁はあなたの大切なパートナー!
いつも 切れ味のいい状態にしておきたいものです。
そこで、、、、
みなさん手軽に使える簡易研ぎ器を購入するわけです。
でも、ちょっと待ってください。
その簡易研ぎ器のカタログや取り扱い説明書をよーく読んでみると、こんなことが書いてあるんです。
『 シャープナー(簡易研ぎ器のこと)は刃先を荒らすことにより
一時的に食材への くいつき を良くするもので、砥石による研ぎ直しの代わりではありません。
シャープナーでの 研ぎ だけに頼っていると刃先の強度が極端に落ち、
刃割れや刃欠けの原因になります。
月に1〜2回砥石を使って研ぐことをおすすめします 』
いかがですか?!
簡易研ぎ器は調理中など その場でどうしても切れ味を取り戻したい時にのみ使って下さい。
普段は砥石で研いで下さい。
ということになりませんか?
私がこれまでにお客さんに聞いた限りでは、大多数の方が簡易研ぎ器を砥石の代わりだと思っていて 「繰り返し何度でも使えるものだ」 と、勘違いしています。
説明書にもあったように、簡易研ぎ器を繰り返し使っていると包丁の寿命を極端に短くします。
例えば、20年→1年、10年→3ヵ月、5年→1ヵ月
こんな具合です。
決して大げさな話ではないのです。
そして、更に使い方を間違うと1回の使用で包丁を壊してしまうこともあります。そんな方が今までに10数人はいたかな。。。
「やっとの思いで買ったばかりの包丁なのにーーー」と泣いたお客さんもいらっしゃいました。
私は簡易研ぎ器をお客さんには勧めません。
でも、もし、どうしても、使いたい時は、包丁をすべらすように軽く引く。
しっかり刃を付けたいからと言って、力を入れるのは御法度。
手元から始まり 先端で終わるように 1回または2回 通すだけ。
それ以上は包丁を壊してしまいます。
とにかく、取り扱い説明書をよく読んで、書かれている通りに使ってください。
(私は勧めませんが。。)
プロの料理人は包丁をとにかく大切にします、それは昔も今も変わりません。
プロの料理人は自分が作る料理の出来栄えは、包丁の切れ味が大きく影響することを、料理人自身が知っているからです。
新鮮な食材と上質の出汁、それを腕のいい料理人が調理すれば美味しい料理が出来上がるでしょう。
さらに、もっと作りの良い切れ味バツグンの包丁が加われば
素材の味を活かした
栄養価の高い
舌ざわりの滑らかな
極上の味に変貌するのです。
美味しい料理はみんなを笑顔にします。
- 玉ねぎ切っても涙は出ない
- キャベツの千切りが甘くなる
これらは当然の結果なんだと思います。
包丁研ぎは水と砥石を使う、昔ながらの方法で研ぐ 「手研ぎ」 を お勧めします。
滑らかな切れ味が持続して料理の味がグーンとアップします。
その積み重ねが
家庭料理を楽しいものにしてくれます!
教訓
簡単に研いだ包丁は、簡単に切れなくなる
料理と包丁研ぎは手間を惜しむな!
by 中野由唱 よしどん
こんにちわ
中野特殊刃物工業 の 代表で 研師 中野由唱 です。
2020年4月に札幌で北海道新聞社主催 文化教室【日本刀の講座】の序章を担当することになりました。
そこで、代表的な日本刀にまつわる歴史話をします。
忠臣蔵は誰もが知る元禄の世の出来事。
でも、1702年の吉良邸討ち入りの時代にそば屋は存在しなかった。
では、そば屋はいつからあったのか?
素朴な疑問が湧いてきて、蕎麦について調べてみた。
日本人の主食と言えば米、稲作の始まりは今から3000年ほど前の縄文時代。
では蕎麦は?と言うと、なんと約9000年前から!
高知県の遺跡から9300年前のそばの花粉が発見されているのです。
【そばの殻はめちゃ硬い】
殻があまりに硬いことから、蕎麦は主食と言うよりも凶作のための備蓄食品として栽培されさいました。
鎌倉時代(1185年〜)になって中国から石臼が伝わり、そば粉の大量生産が容易になったのです。
でも当時は「そばがき」や「そば焼き餅」といった団子や餅の形状で食べられていました。
現在のように麺状の蕎麦が登場したのは室町時代(1378年〜)との説もありますが、はっきりと資料に残っているのは江戸時代(1603年〜)のもので日本最初の料理本、「料理物語」です。
西暦1643年(寛永20年)に出されたこの本には蕎麦切り(麺状のそば)の作り方が書かれています。
そしてその当時、麺状のそばはお湯で茹でるのではなく蒸籠で蒸していました。
現在も「もりそば」を「せいろそば」と呼ぶのはその名残りなんです。
ただ当時はまだ蕎麦よりうどんが主流で、そば屋が一般的になるのは、いわゆる二八そばが出てくる元禄15年より少しあとのことです。
十割そばは、そば粉を糊化させたものを「つなぎ」としてそば粉だけで作った蕎麦のこと。
切れ易く蒸籠に乗せて蒸し、そのまま客に出す形の蕎麦が主流だった。
江戸時代の後期(1730年〜)になってそば粉と小麦粉を混ぜた蕎麦が広く出回り、現在のように茹でる蕎麦が主流とって屋台のような一杯ずつ出す形の蕎麦が完成したのです。
二八そばの名称の由来は粉の割合から、
当時一杯が16文だったことから(2×8=16)のニ説ある。
「蕎麦切り」を今は単に「そば」と呼んでいます。
昔も今も変わらないのは、十割そばでも二八そばでも 蕎麦切り包丁 の切れ味が良いと、切った麺が角張って〝のどごしスッキリ〟で旨さが増します。
当時の蕎麦切り包丁はどんなで、どんな研ぎをしていたんだろうか。
思いは無限に広がります。。。
by 中野由唱 よしどん
こんにちは中野特殊刃物工業の中野由唱です。
創業62年の中野特殊刃物工業は〝家具の街〟旭川にあって、長年 木工加工用刃物の設計と製作、メンテナンスに関わってきました。
ですが、あまり知られていない一面があるのです。それは食品加工用の刃物にも対応してきた、ということです。
20年前までは、秋になると稲刈りのコンバインやビートの粉砕刃のメンテナンスに追われていました。
そして業務用のスライサーや包丁も研ぎました。当時、包丁は製造メーカーと同じように機械を使って仕上げていたんです。
私が砥石を使った『手研ぎ』に魅かれ始めたのはこの頃からです。
手研ぎ仕上げの滑らかさは、「機械では絶対に出せない」と、そう直感したからです。
そして、家庭の包丁がどれだけ無理して、我慢して、切れないまま使われているかを知ったのです。
それから徐々に業務用包丁から家庭用包丁にシフトして、今は年間1,200本ほどの家庭用包丁を研いでいます。
直線的な研磨機の動きに対して、人の手の動きは自然に曲線を描き滑らかです。
機械の動きとは異なっています。
実はこの自然の曲線が包丁にとって重要なことなのです。
それは日本刀の反りにも似た要素が含まれているから、、、、、
いかに、刃を持つ手に抵抗なく切れるかということ。
「手研ぎをもっと極めたい」という気持ちから日本刀研師の修業に入って9年。今年は日本美術刀剣保存協会本部の研修会に参加することを許されてたので、7月末に東京で研修を受けてきました。
日本刀は研師が意識して刃を付けるのではない。「自然体で研げば、自然に刃は付くもの」そんなことを学んだ日本刀仕上研磨の研修会でした。
東京から戻ると私はすぐに研ぎたい気持ちが湧き出して、手元にあった刃渡り27センチの牛刀で試してみました。
それまで意識したことは無かったのですが、確かに刃の曲線は自然に出るもの。
意識して造り出すものではないことを実感できました。
大切なことを実感でき有意義な研修でした。
日常の仕事を休んで、お客さんに仕上がりを待って頂きながらも、参加して良かったです。
玉ねぎを切ると涙が出る。ニンジンをきざむとまな板が真赤になる。
そんな世間の常識も、全ては切れない包丁が大前提なのです。
それは野菜の繊維をつぶしているから。
切れ味の鋭い包丁では玉ねぎも目にしみないし、ニンジンでまな板は赤くなりません。
包丁の本当の切れ味を知らない人が多いことは、勿体ないことです!
日本特有の文化である鋼(はがね)の技術。
砥石と研ぎ手の五感を使った手研ぎの技。
私がこの切れ味と技を伝えたいのはこんな人達です。
- 世界の人々に伝えたい。
- 未来の人々に伝えたい。
- 隣家の奥さんに伝えてたい。
そんな思いを更に深めた2019年東京での研修でした。
by 中野由唱 よしどん
SNSで友だちになった 小柳ひろみさん(ひろみん)、ご主人と息子さんで町の電気屋さんこやなぎでんきを営んでいます。
3人とも私の包丁研ぎ教室の生徒さんです。
そんなこやなぎでんきさんが今年の2月、6月、に続いて8月25日に包丁研ぎ実演会を企画してくれました。
心を込めて研いだ包丁を、みなさんに喜んでもらえるのがとても嬉しいです。
包丁が切れるというだけで、料理がそれまでとは全く違う美味しさになるんです。そして苦手な人も料理が楽しくなる。
でも一番嬉しいのは、研ぎ上がった包丁を手にして笑顔で「この次はいつ中標津に来るの?」と言ってもらえること!
8月25日 日曜日 午前10時から受付は午後3時まで
包丁研ぎは一本1,000円〜2,000円が目安です。別料金ですが、そば包丁も研ぎます。
中標津町のこやなぎでんき店内にて 電気圧力鍋とヘルシオホットクックの実演もあります。
希望の方には、私がプロデュースしたオリジナル三徳包丁も販売します。
左利き用も用意しますので 初めての方も気軽に声を掛けてくださいね!
ベイシストのご主人による 前日24日のjazz nightも楽しみです🎶
それじゃみなさん8月25日中標津でお会いしましょう!
by 中野由唱 よしどん
忙しい毎日を過ごす現代人。
自分の周りの環境の景色や音、空気の匂いやそよぐ風、そういうもの感じている人 少ないんじゃないかな?私はたまに感じる程度です。
そして、それらはすべて五感で感じるもの。
研ぎ澄ます
という言葉があります。ほとんどの人は「耳をそばだてて、神経を研ぎ澄ます」などと心の動きを鋭敏にする意 と思っているでしょう。もちろん間違いではありません。
でも本来の意味は
刃物などを良く研いで、少しの曇りもないようにする。
つまり、刃物をしっかり研ぐことを研ぎ澄ますと言うのです。
そして、研ぎ澄ますことは五感を使うことなのです。
現代人は毎日の暮らしの中で、この五感をつかう機会がどんどんと無くなっています。人間だけが持つこの五感、大切にしたいですよね。
以前「包丁研ぎを教えてください」と妹背牛町の女性農業者グループさんから声をかけていただき、そのお一人が包丁研ぎ教室の感想を日本農業新聞北海道版に寄稿してくれました。
食と農 広がる輪 3年前のものですが、投稿者ご本人から了解を頂いたのでここにご紹介します。
「包丁を研ぐ時間」
一昨年、女性農業者グループ昴(うずら)で包丁研ぎ講習会を行った。全員が農家であり主婦であるメンバー、興味の度合いは言わずもがなである。
講師はその時包丁研ぎにはまっていた私の友人から、師とする研師を紹介してもらい旭川から招いた。
研ぎ方そのもの(持ち方・手順・研ぐ角度など)はもちろん、研ぐ前に砥石を30分以上水に浸けておくこと、包丁の保管の仕方(水気・湿気は厳禁)、木製のまな板が一番刃を傷めない、ということなど たくさんのことを教わった。
用意されたサンプルの包丁は当然だけれど、どれも切れ味抜群で 参加した8人のメンバーで代わる代わる試し切りすると、黄色い歓声が。切れ味の良い包丁だと野菜がより薄く細く切れるし、お肉がムニュとではなくサクッと切れる。
料理が楽しくなり、切る作業も安全になるのだ。
ユーモアもあり親しみやすいお人柄の研師は刀も研ぐとのことで、そのまなざしにメンバー一同すごみを感じた。それぞれ持参した包丁も蘇らせてもらって、感謝感激の講習会となった。
あとは自宅で練習あるのみで、さっそく自分なりに研いでみるも 刃の〝返し〟の感覚をつかむのにしばらく試行錯誤した。そのうちに普段使いの私の包丁は、研ぐ角度が間違っていた上に 持ち前の馬鹿力も手伝ってか、研ぎ過ぎてペティナイフのように小さくなってしまった。
そうして昨夏に、「昴(うずら)」メンバーで講師をしてくれた研師経営の刃物店に出掛ける機会があった。講習会に参加していなかったメンバーも、話を聞いて試し切りさせてもらうことができて、砥石や包丁を購入するメンバーも多数。
私も再度研ぎ方へのアドバイスをもらい鋼(はがね)の包丁を買った。大満足の切れ味の包丁は、毎日使う台所の相棒であり宝物になった。
日々は移り動いていて、雪解け時期からこの春は特に考えることも多く、気が付けば包丁研ぎから遠ざかりがちになっていた。
思い出したように久々に研いでみると、集中して刃と向き合う時間は不思議と心も落ち着かせてくれた。
「少し余裕が出て来たのかな」と、自分の内面とも向き合ってみる。切れ味もよくなり一石二鳥、これからも包丁を研ぐ時間を大切にしたい。
(橋向美月・妹背牛町の米農家)
五感を使った包丁研ぎは集中するとストレス解消にもつながります。
何でも簡単で手軽になっている世の中です。しかし簡単に研げるものは、簡単に切れなくなる。それが刃物です。
みなさんも研ぎ澄ますを是非実践してほしいものです。
by 中野 由唱 よしどん
北海道標津郡中標津町にある「こやなぎでんき」さん。
社長の小柳光悦(こやなぎこうえつ)さんはカッコいいベイシスト!
奥さんの小柳ひろみさんは明るく純真な元看護師さん!
長男の小柳佑樹さんはいつもかぶり物で元気100倍の優しいお兄さん!
そんな3人が企画したこやなぎでんき感謝祭。
その企画にオファーをくれてありがとう。
実は3人とも包丁研ぎ方教室の私の生徒さんでした〜(笑)
感謝の気持ちで包丁研ぎの実演をやりきります。
もちろん 手研ぎの技も見せますよ。
6月30日、今からわくわくしてます。
中標津のみなさんに、家族が笑顔になる包丁ライフ楽しんでほしいな🎶
by 中野 由唱 よしどん
こんにちは
中野特殊刃物工業の代表で研師の中野由唱です。
中野刃物は今年で創業62年になります。私自身は入社して42年、平成元年に二代目社長となりました。
刃物の仕事をしていると、誰もが切れない刃物を無理して我慢して使っていることに驚きます。
刃物は切れるから刃物なんです。
そんなことを「周りの人たちにもっとうまく伝えたいっ」と思って、私は2016年
【安売りするな、価値を売れ】
というエクスマ実践塾に参加しました。
そして、その年の12月にスタートした比布町エクスマ化プロジェクト2ケ年計画。
2歳から旭川に住んでいて、父が時々遊びに連れて行ってくれた比布町。
ぴっぷスキー場や塩狩峠スキー場
いちご狩りやタケノコ狩り
ひまわり畑の迷路
最近では突硝山のカタクリの花。。。
そんな比布町を私も私の出来ることで応援して行くことにしました。
5月12日の母の日にピピカフェ比布駅にて、妻の妙敦とふたりで包丁研ぎ実演会を開催しました。実演会終了後、比布駅前の桜が満開なのをみつけて、記念にパチリ!
比布町では18回目の包丁研ぎ実演会でした。すると、なんと音信が途絶えていた高校時代の同級生と20年ぶりに再会できたんです。しかもその手には包丁が一本、嬉しかったぁ!
私が比布町で包丁研ぎ実演会をやっているのは知ってたけど、仕事と重なってなかなか来られなかったそうです。
実は「奥さんを数年前に亡くしてからは家に籠りがちらしいよ」と人づてに彼のことを聞き、ずっと気になっていました。
いつかこの包丁研ぎ実演会に彼に来て欲しい、私はそう強く願っていたんです。
彼の顔を見た瞬間、私は何故か言葉にならなくて「やったー」と心で叫んでいました。
彼は一時間程、私の包丁を研ぐ姿を見ていました。集中している私の横で妻の妙敦と定年後のこと、今の仕事のこと、比布町のこと、ボヘミアンラプソディーのこと、これまでのことを色々話してました。
彼の包丁が研ぎ上がり、別れ際に「会えて良かったよ、俺もっ」たったその言葉にすべてが込められていたように思います。
18回続けてきたからこそ、彼との再会が叶った。
比布町で包丁研ぎ実演会をやってよかったー。ほんとによかった!
どんなことも
続けることは、いつか価値になる
私はこれからも比布町を応援して行きます。
気負わずに私の出来ることで、のんびりと。。。
by 中野 由唱 よしどん
こんにちは、中野刃物の代表 中野由唱です。比布町での包丁研ぎ実演会も18回目になります。
久しぶりのピピカフェ開催。
母の日の開催。
なので。。。
私はいつもより気合いが入ってます。
比布のみなさん、周辺地域のみなさん、これからも包丁研ぎを続けて行きます。
どうぞよろしくお願いします。
日付 令和元年 5月12日 日曜日
場所 ピピカフェ比布駅
時間 午前10時開始
午後4時終了
研ぎ代 1本 1,000円より
包丁の傷み加減で変わります。
所要時間は30分です。
旭川市東鷹栖4線10号1-13
中野特殊刃物工業株式会社
0166-57-1141
こんにちは。
中野特殊刃物工業の代表で 研師 中野由唱です。
今日は私が刃物を研ぐ理由をお話しします。
戦国時代、刀研師は合戦に随行した。そして刀研師は、敵方から真っ先に命を狙われた。
刀で斬り合う戦さでは、太刀(たち)一振りで敵の息の根を断たなければ自分が切られる。
ですから、、、
刀の切れの良し悪しは、命に関わる重要不可欠な要素だった。
その刀の技は現代の和食文化における包丁に受け継がれています。
切れ味の良い包丁で切るりんごは、1時間ほどは色が赤くなりません。塩水に浸さなくても美味しく頂けます。
切った時に、細胞が壊されないから酸化し難いのです。
包丁が切れると美味しくなる理由
-
- 渋味が出にくい
- 加熱した時アクが出ない
- 煮崩れしない
- 食材に損傷が無いから劣化が遅い
- 肉の切断面の凸凹が少ない
- 肉を焼いた時余計な焦げが付かない
- 脂が流れ出ず硬くなりにくい
- 調味料の量が少なくなる
- 栄養価を損なわない
つまり、、、
食材本来の味が味わえる。 食材の美味しさの寿命を延ばし、無駄を減らすことにも繋がる。
食べることは生きること!
日本には四季を彩る和食文化がある。
そこには、、、
和食文化を支える包丁と研ぎの文化がある。
文化とは日常のこと。
和食文化を繋げていくために、私はこれからも刃物と向き合って生きます。
by 中野 由唱 よしどん