包丁の簡易研ぎ器に落し穴
- 2020年10月07日
最近、研ぎ直しに預かる包丁のなかに刃先の傷んでるものが増えています。
こんにちわ
中野特殊刃物工業(株)代表で 研師 の 中野由唱です。
ホームセンターなどの包丁コーナーには包丁と一緒に簡易研ぎ器が並んでいるのを見かけます。
カラフルで形も可愛い商品が多く、特にコンパクトで初めてでも簡単に使えそうなものが人気のようです。
せっかく作った料理も包丁が切れないと、食材がつぶれてしまい、食材の持つ旨味成分も口に入る前に まな板に吸われてしまいます。
毎日使う包丁はあなたの大切なパートナー!
いつも 切れ味のいい状態にしておきたいものです。
そこで、、、、
みなさん手軽に使える簡易研ぎ器を購入するわけです。
でも、ちょっと待ってください。
その簡易研ぎ器のカタログや取り扱い説明書をよーく読んでみると、こんなことが書いてあるんです。
『 シャープナー(簡易研ぎ器のこと)は刃先を荒らすことにより
一時的に食材への くいつき を良くするもので、砥石による研ぎ直しの代わりではありません。
シャープナーでの 研ぎ だけに頼っていると刃先の強度が極端に落ち、
刃割れや刃欠けの原因になります。
月に1〜2回砥石を使って研ぐことをおすすめします 』
いかがですか?!
簡易研ぎ器は調理中など その場でどうしても切れ味を取り戻したい時にのみ使って下さい。
普段は砥石で研いで下さい。
ということになりませんか?
私がこれまでにお客さんに聞いた限りでは、大多数の方が簡易研ぎ器を砥石の代わりだと思っていて 「繰り返し何度でも使えるものだ」 と、勘違いしています。
説明書にもあったように、簡易研ぎ器を繰り返し使っていると包丁の寿命を極端に短くします。
例えば、20年→1年、10年→3ヵ月、5年→1ヵ月
こんな具合です。
決して大げさな話ではないのです。
そして、更に使い方を間違うと1回の使用で包丁を壊してしまうこともあります。そんな方が今までに10数人はいたかな。。。
「やっとの思いで買ったばかりの包丁なのにーーー」と泣いたお客さんもいらっしゃいました。
私は簡易研ぎ器をお客さんには勧めません。
でも、もし、どうしても、使いたい時は、包丁をすべらすように軽く引く。
しっかり刃を付けたいからと言って、力を入れるのは御法度。
手元から始まり 先端で終わるように 1回または2回 通すだけ。
それ以上は包丁を壊してしまいます。
とにかく、取り扱い説明書をよく読んで、書かれている通りに使ってください。
(私は勧めませんが。。)
プロの料理人は包丁をとにかく大切にします、それは昔も今も変わりません。
プロの料理人は自分が作る料理の出来栄えは、包丁の切れ味が大きく影響することを、料理人自身が知っているからです。
新鮮な食材と上質の出汁、それを腕のいい料理人が調理すれば美味しい料理が出来上がるでしょう。
さらに、もっと作りの良い切れ味バツグンの包丁が加われば
素材の味を活かした
栄養価の高い
舌ざわりの滑らかな
極上の味に変貌するのです。
美味しい料理はみんなを笑顔にします。
- 玉ねぎ切っても涙は出ない
- キャベツの千切りが甘くなる
これらは当然の結果なんだと思います。
包丁研ぎは水と砥石を使う、昔ながらの方法で研ぐ 「手研ぎ」 を お勧めします。
滑らかな切れ味が持続して料理の味がグーンとアップします。
その積み重ねが
家庭料理を楽しいものにしてくれます!
教訓
簡単に研いだ包丁は、簡単に切れなくなる
料理と包丁研ぎは手間を惜しむな!
by 中野由唱 よしどん