新元号と63歳

  • 2019年03月18日

昭和53年4月1日、私は大学卒業と同時に中野特殊刃物に入社した。

最初は研磨工見習いから、数年の工場作業の後 営業見習いとして いきなり100軒ほどのお客様を任された。

正直、何をどうしたらいいのか全く分からなかった。
主な仕事は使って切れなくなった刃物の回収と再研磨した刃物の配達、そして新しい刃物の売込み。研磨工の時もそうだったが、刃物の基礎知識も扱う種類もどうやって売り込むかも、自分で覚えるしかなかった。

中野特殊刃物にとって社員教育は皆無なのだ!

入社から11年目の1月初め、昭和天皇が崩御され年号が昭和から平成に変わった。

自粛ムードの中での会社新年会。社長挨拶の席で「俺の時代は昭和と共に終わった、後は息子に預ける」と何の相談も、何の打合せも無いまま15名の社員の前で先代社長である私の父がいきなり言い出した。

昭和元年生まれで昭和と共に生きて来た父だからそうしたかったのかも知れない。当時63歳の社長引退は早すぎると思ったものだ。

当時の父と同じ63歳という歳は私にとって、平成の30年を改めて振り返るきっかけになった。

そんなことを思う日曜の夜です。

さあ、これから工場にこもって明日の段取りしよう!

by 中野 由唱 よしどん