「切れる刃物を使う喜び」を伝えたい
刃物は単独では何もできません。
所詮刃物は裏方です。
けれど、様々な製品を生み出していく裏方です。
私は、刃物を支える裏方、つまり裏方の裏方です。
刃物は切れるから刃物です。
切れないものは刃物ではありません。
けれど多くの方が、実は、切れない刃物を気付かずに使っています。
常に切れない刃物を使っていると、切れない事実にも気が付きません。
切れる喜びを知ってもらいたい。
切れることによる幸せを知ってもらいたい。
それが、私の願いです。
「中野社長の情熱は、すごいですね」と言われて、初めて気付きました。
私は刃物を愛するあまり、自分が刃物になっていたのです。
もっと丁寧に扱って欲しい、もっと大事に思って欲しい。
そんな不満を感じていましたが、私が本当にしたいこと、そして私の使命は刃物の可能性を広げること。
ほかの人に期待するのではなく、自分が動くことが必要だったと。
日本の研ぎの文化を過去から受け継ぎ、未来へ託す。
自分がその役割を担っていけることを、幸せと感じます。